それぞれの正しい答えに向かって

今日のバイトは非常に疲れました。僕はインターネットの申し込みを受けるバイトを今やっているのです。やたらフレンドリーな人もいれば、やたら威圧的な人もいる、やたら質問してくる人もいれば、頭が少し弱ってる人まで来た。
その頭の弱い人の話を少々。


DVDプレーヤー売り場近くにいた僕に彼は寄って来て、わけのわからない言葉を話す。「もう1度お願いします」って何度も僕は聞き直して、「これはメールが打てるか?」って言ってるのを理解した。丁寧に説明したらわかってもらえたらしく去って行く。


少ししてまた彼が僕に寄ってくる。
「メールが打ちたい。インターネット申し込みたい」と。
彼はお店にちょくちょく来る、いわゆるちょっと変わった人らしかった。
僕は悩んだ。いくつかの選択肢がある。
要件だけ満たしていれば、普通に申し込みを受ける。
全く受け付けない。相手にしない。
とりあえず形だけは申し込みを手続きをして、何かと理由をつけて受付をしない。


僕は最後の選択肢を選んだ。なるべく彼を傷つけないように。それは僕自身が傷付かないように。って事と同じかもしれない。
そして「電話の回線名義人がわからないと申し込みできません。あと、身分証明書も持って来て下さい。そうすればお申し込みできますので。」そう言って僕は彼を帰した。常に半開きになった口で常に無表情な彼は、僕の言葉を理解したのか、不満なのかわからない。そういった感情を表情から読み取る事が出来ない。不安である。今まで僕は人の表情を読み取って生きて来たから。彼はエスカレーターでゆっくり消えて行った。なぜ彼はそんなにメールを打ちたかったのだろう。正しい答えはどこにある?ないか。


車椅子に乗ったおばあさんとおじいさんがいた。エレベータで降りようとするおじいさんと、なぜか遠慮するおばあさん。
『そこにあるんだから使えばいいんだよ。』そう言っておじいさんはおばあさんをエレベータへ連れて行く。なぜだか僕はそこに愛を感じてしまった。
愛燦々と。