汚センチメンタル

友達のよしお君は、合コンとかいう僕が体験した事がない未知の世界へ
挑戦したのです。同じバイト先のA君に誘われたらしいのです。


そのA君は、策士家なのか前日に作戦会議を開いたらしいのです。
女性側は3人だっていうのに会議に現われたのが、男が2人しかいない。
それなのにA君は、それぞれ役割分担しようとしてきた。
合コン必勝マニュアルに書いてあったらしい。役割を決めるのが重要!!って。
よしお君はディフェンスとかオフェンスとかスルーとか、
やたらとサッカー用語の作戦を押し付けられたらしい。
そして、学ランとか着ていったらウケそうじゃない?とかいう、司令塔A君の
意味不明のアイデアにより学ランを着させられる事になった。
最初はトーク中心で行って、後半はゲーム中心で行って最後は王様ゲームがしたい。
司令塔A君のなかでは、すでにゲームメイクが始まっているらしい。
『明日俺、勝負パンツはいて行こう』キラリと目が光る。
どうやら司令塔A君の頭の中ではゴールしたらしい。


そして当日、待ち合わせ10分前まで、A君は合コン必勝マニュアルを読んでいたらしい。なんて頼れる司令塔なんでしょう!!


A君とよしお君の顔を見た瞬間、相手の女性陣が放心状態になり、
女性陣の強引な意見で1次会から、カラオケボッックスになる。
予定していた居酒屋はキャンセル。
司令塔A君もこれにはまいったが、気を取り直し猛然と女性陣へドリブル。
しかし、まったく相手にされず空回り。すごい空回りっぷりだったらしい。
A君自信の作戦、よしお君の学ランは見事にスルーされ、
よしお君渾身のギャグ、古畑任三郎モノマネもゴールならず。

もうよしお君はボロボロであった。
寒い空気と浜崎あゆみの曲だけがソコに流れていた。
ただ1人司令塔A君はまだ諦めていなかった。
女性陣に聞こえる大きい声で、必死に
『おい、よしお、今ディフェンスだ!』
『これスルーしたあとカウンター行くぜ』


『相手に聞こえたら意味ないじゃん』ってよしお君は思ったけど、
もう何も言わなかったらしい。
そして突然メモ帳を取り出して、何時にこのギャグでスベッた。とか
飲み会の情報を記録していた研究熱心なA君。
自分がすべったギャグもちゃんと記録していたのかは不明である。
2時間30分が過ぎ、よしお君が女の子と話したトータルの時間は5分もなかったらしい。何だか知らないが空ばかりみていたらしい。
その気持ちが痛いほどわかり、その話を聞きながら僕は涙した。


女の子はもちろん奢りと思ってたみたいで、ワリカンって聞いて激怒。
A君に、さよならもいわずに一次会で消えて行きました。試合終了!!


A君の試合後の感想。
今日は女の子のパンツが見えたから目標の半分は達成した!!
満足だ。今日の教訓をいかして次、頑張りたい。だってさ。
すっげーポジティブ。キモいくらいポジティブ。
ちなみに見えたパンツの色は?って聞いたら、
『水色と灰色の混じったヤツ』だってさ。なんじゃそりゃ。
次の合コンは僕も誘ってもらえるらしい。
A君に会ってみたくて仕方ないです。げへへ。