階段話

駅の階段付近のベンチに佇む、ぷちヤンキーカップルがおりました。
小心者の私は、できるだけ視線をはるか彼方へ向けて歩いていました。
何事もなく通過できて階段を歩き始め、ほっとした時に事件が起こりました。
階段の先を歩く女性がくるっと向きを変え、ぷちヤンキーカップルのほうを見て、
怒りくるった言葉を吐くのです。言葉にならない言葉たち。
ぷちヤンキーカップルの乾いた笑いが響きわたります。
ぶち切れた女性は、笑い声を受け唇を噛みしめ消えて行きました。

離れた距離で、キレて文句を言うのは見ていて何だか悲しかった。
彼女は僕と同じく弱いのだなぁと思う。
あと少しの忍耐か勇気。どちらかが欲しいよね。
そんな彼女の無念な想いを胸に抱いて、僕は今日もいつもの飲み屋へ行くのです。


なんだかんだ理由をつけて、今日も飲みに行くのです。
もうアホなくらい頻繁にいつもの飲み屋に行くのです。
ここの海老チリと酢豚ウマー。
酒もウマー。スイーツうまー。
ええ、そして僕はどんどん肥えて行くのです。
ダイエット宣言も吹き飛ばし、肥満体へと一歩一歩近づいています。

あと少しの忍耐と勇気が欲しい。